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便所からあつあつデリバリー。

とぶ夜空

星が綺麗だ。
僕は空を見上げる。
今日は流星群が見えるらしい。
オリオン座がくっきりと見えた。どこまでも煌めく三対の星が浮き出している。 

田舎は嫌いだった。なにもすることはないし買い物に行くのも電車に乗るのも一苦労だ。
でもたまに晴れた日、遠くの山が澄んで見えるのが好きだ。鳥の鳴き声だけが響く朝が好きだ。どこまでも広大な土地に沈む夕方の太陽が好きだ。
そんな些細な好きが重なって、いつからかここも悪い場所じゃないのかもしれないと思うようになった。

星がまばらにポツポツと夜空を染めている。
それを見ているとなぜか君のそばかすを思い出す。
君が大嫌いだったそばかす。まばらにぽつぽつと。でも問題はそこじゃないんだと僕はよく言った。
それがあろうとなかろうと、僕は君がとても魅力的なんだと。
だけど君は恥ずかしそうにうつむいて、首を振るんだ。
わたし、ダメなの。気にしちゃって。
うつむいた顔にかかる髪が微かに搖れて、僕の鼻を彼女の匂いが誘った。
なにもしてあげられなかった彼女。大好きな、大好きな彼女。
自信はつけてあげるものじゃない。僕が何を言ったって彼女の胸には届かなった。
何が彼女に残ったのか。
そこに僕がいればいいと思う。たとえ僕の姿がなくとも、言葉だけでも、そこにあればいいと思う。
いつか分かる日が来て欲しいと思う。
何光年もかからずとも、わかって欲しいと強く思う。
小さな子が大きくなって、やっと親の言っていた事が分かるように。
君はまだ輝ける。
シリウス

結局その夜流れ星は見つけられなかった。
でもまたいつか他の流星群で見れたらいいなと思う。
地球はまわっているのだから。